MotoGPで日本勢は復活できるのか

バレンティーノ・ロッシも懸念

現在、MotoGPではヨーロッパ勢の勢いがすごく、長らく最高峰に君臨していた日本勢は苦戦している状況です。
50年近い長い年月、日本のメーカーはロードレース世界選手権で常に最高峰クラスの王座を独占してきました。
その状況に変化が生じてきたのはコロナ禍以前、すでに2010年代後半にその兆候はありました。
それが、ドゥカティが2022年にチャンピオンになったことで決定的になったと言ってもよい状況です。

実際、2022年も日本勢は苦戦しました。
ドゥカティ、KTM、アプリリアの活躍は著しいですが、ヤマハはファビオ・クアルタラロが善戦して2位(コンストラクターズランキング)を死守しましたが、スズキは5位、ホンダは6位という結果です。
この状況にはヤマハやホンダで数々のタイトルに輝いたバレンティーノ・ロッシも懸念を示しています。
実際、メディアの取材で現在の日本メーカーについて聞かれたとき、バレンティーノ・ロッシは以下のように語りました。

「バランスに常にフォーカスしてきたヤマハだが、エンジンの差はドゥカティとかなり開いている」とのことです。
「実際、この数年でヤマハはドゥカティに追い込まれているが、それはヤマハだけでなく日本のメーカー全体に言えることだ」とも言っています。

では、どうすれば日本メーカーが挽回できるのでしょうか。
ロッシは「勝ちたいのであればやらなければならないことが多数あることを理解し、さらなる努力を続けるしかない」と語りました。

日本勢は今後どこまでドゥカティに迫れるのか

一方、昨今の日本メーカーの苦戦は2020年以降のコロナ禍の影響が大きいという見方もあります。
たとえば、マルク・マルケス(レプソル・ホンダ)によると、コロナ禍の間、舞台がほぼヨーロッパだったことが日本メーカーの開発に悪影響を及ぼしたとのことです。
新型コロナウイルスの感染拡大で世界中のスポーツが影響を受けてきましたが、アジア勢、特にヤマハ、ホンダ、スズキなどの日本勢はコロナ規制で厳しい状況にさらされていたと言います。
チャンピオンの舞台は2020~2021年と大部分がヨーロッパでしたが、彼らにとっては母国からヨーロッパに来て生活するという環境面でのハードルも苦戦を強いられる一因になっただろうということです。

もちろんどんな環境でも、それに適応しなければ追い抜かれてしまうのは勝負の世界の常識です。
とはいえ、「仕事もコミュニケーションもたいへんな状況だったことは確かだ」とマルク・マルケスは語ります。
しかし、状況は徐々に以前のとおりに戻ってきており、日本メーカーも挽回しようと必死に作業を続けている状況です。
2023年以降、日本勢がどこまでドゥカティに迫れるのかに注目しましょう。