ヴァレンティーノ・ロッシ引退で思うこと

シーズン最多の観客が集まる

2021年、MotoGPはビッグニュースが流れました。
スーパースターのバレンティーノ・ロッシが引退することになったからです。

彼のラストランになったのは、バレンシアグランプリです。
コロナ禍のために2021年シーズンは無観客開催が多かったです。
しかしバレンシアグランプリでは、観客を入れました。

レースウィークを通じて総勢14万9,000人が詰めかけました。
決勝だけでも7万5,000人を動員しています。

ロッシは10位でフィニッシュしました。
しかし彼にお別れを言うために、世界中から多くのファンが訪れました。

数字でわかるロッシの偉大さ

オートバイレースが好きな人であれば、今更バレンティーノ・ロッシの偉大さを説明するのは野暮かもしれません。
しかし簡単に紹介すると、1996年にWGPデビューを果たします。
アプリリアで125ccと250ccのチャンピオンを獲得します。

その後500ccとMotoGPクラストトップレベルのクラスに挑戦します。
すると彼の才能はさらに開花します。
通算で9度のタイトルを獲得しました。

26年間で積み上げてきた勝利数は115勝です。
2022年3月時点で歴代2位の勝利数です。
トップクラスで22シーズンを戦い、出走数は432戦、これは史上最多の金字塔です。
ロッシもレースを愛し、ファンもまたロッシを愛しました。

弱小チームで勝つ矜持

彼が多くのファンに愛され、世界的なスーパースターになったのは2004年と言われています。
それまで在籍していたホンダからヤマハに移籍したのです。

ホンダと言えば当時常勝軍団と言われ、他のメーカーを圧倒していました。
「ホンダ退屈シンドローム」状態でした。
ロッシもホンダのアドバンテージを生かし、2002年と03年のチャンピオンに輝きました。

ところが最強タッグと言われたホンダ+ロッシのパッケージを捨て、ヤマハに移籍したのです。
当時のヤマハはホンダに全く歯が立たない状態でした。
2003年シーズン16戦中ホンダは15勝、ヤマハは未勝利の事実を見れば無謀な移籍と見られました。

しかし2004年ヤマハのマシンを駆ったロッシはホンダを圧倒していきます。
そしてヤマハに12年ぶりのタイトルをもたらしたのです。

強くて優しい

ロッシが愛されたのはただ単に強かっただけではないでしょう。
「ロッシスマイル」と言われる愛嬌のある笑顔に虜になったファンも多かったのではないでしょうか?

ロッシスマイルはラストランの時にも絶やしませんでした。
ラストランを前に彼も「涙を見せるのは自分のキャラではないから」と言っていましたが、それを実行しました。
大勢の関係者やライダー仲間、ファンの絶え間ない声援に笑顔で応じました。
誰からも愛されたロッシがサーキット場からいなくなるのは、思っている以上の喪失感を受けるかもしれません。