軽さは正義だけど重くても問題なし

体重は本当に軽いほうが有利なのか?

競馬の騎手は、体重が軽い方が馬にかかる負担が少ないために有利だと言われています。
MotoGPをはじめとするサーキットレースのライダーを見ても、比較的小柄で体重が軽いレーサーが多い印象はあります。
しかし、体重が軽いことは本当にレースにとって有利なのでしょうか?

バイクレーサーの多くは、比較的体が小柄な人が多いスペインやイタリアの出身だったり、Moto3など小排気量のスーパーバイクレースからステップアップするケースが多いため、小柄なレーサーばかりという印象があるかもしれません。
しかし必ずしも小柄なレーサーばかりではなく、スーパーバイク出身のライダーを見るとアメリカやオーストラリア出身のレーサーが多く、体格もガッチリ系です。
バイクレースの歴代チャンピオンを見ると、同じクラスでも小柄なレーサーが優勝することもあれば大柄なレーサーが優勝することもあり、必ずしも体重が軽い方が有利とは言えないことが分かります。
つまりバイクレースに関しては、体重が軽いことや重いことはレースの勝敗には直接的な関係はないと考えられます。

勝敗を決める要素は体重よりもセッティングが重要

バイクレースで勝敗を決める要素は、レーサーの体重や身長、体格よりも重要なものがあります。
それは、レーサーにあったバイクのセッティングをするという事です。

例えばサスペンションの設定を比較しましょう。
多くの人が抱くイメージでは、小柄で体重が軽いレーサーはスプリングが柔らかめで、体重のある大きなレーサーは固めの設定となっているかもしれません。
しかし実際には、サスペンションの設定はレーサーの体格や体重で決めるものではなく、そのレーサーのライディングスタイルによって異なります。
例えば体重移動や倒し込みのスピードが素早いレーサーの場合にはバネレートが強めの設定にした方が良いですし、コーナリングでは一定の荷重移動のスキルを使うレーサーの場合には、バネレートは低めの設定が多くなっています。

またコースのレイアウトによっては、サスペンションの設定を調整することも、勝敗に大きな影響を与えます。
例えばサーキットコースのレイアウトにS字コーナーが続いていたり高速コーナーがある場合には、レーサーが勝負するタイミングに合わせてトラクションがベストな状態で作用する位置にサスペンションを設定しなければいけません。
そのためレーサーとコースレイアウトを見ながら打ち合わせを行い、どこで勝負するかによってサスペンションの微調整を行うことがタイムを縮めるためのポイントでもあるのです。

サーキットレースでタイムを縮めたり優勝するためには、レーサーの体重や体格というよりは、レースのスタイルや勝負所に合わせてバイクの設定を微調整する必要があります。
つまり、レースチームが一丸となってバイクのメンテナンスや設定をコースごとに調整しながら取り組むことが必要不可欠と言えるでしょう。