サーキット走行時のタイヤの空気圧

サーキット走行では空気圧低め?

ライディングスクールなどでは、参加者から講師に対してタイヤに関する質問がよく飛びます。
特に多いのが空気圧に関する質問で、たとえばサーキット走行では通常より空気圧を落とすのがセオリーなのかという質問もありました。
なぜそう思うのかと逆に聞かれると、レースの経験者からそれがセオリーだと教わったとのことです。

サーキット走行では空気圧低めなどというのは、セオリーでもなんでもありません。
OEタイヤ(Original Equipment、つまり車両出荷時のタイヤ)にはその車種に合わせて最適な性能がすでに与えられています。
これはスポーツモデルのバイクについても同様です。
基本は一般の公道での走行を想定して、街乗り、高速道路、雨の日、ワインディング、タンデムなどさまざまな状況を安全に走れるように設定されています。

サーキット走行では速度レンジが公道とは違って高くなるため、発熱量もかなりアップします。
それで上昇する内圧を考えると、若干空気圧は低くするのがいいという考えもありますが、それでも指定の空気圧から1割程度低い設定が無難です。
これなら、サーキット走行の後に公道を自走して帰っても安全でしょう。

メーカーが指定するタイヤの空気圧はバイクのどこかに書いてあるはずです。
スイングアームやチェーンケースをチェックしてみてください。
空気圧を記載したステッカーがあることでしょう。

タイヤの目的によって異なる

最初の話に戻りますが、サーキット走行では空気圧低めがセオリーというのはなぜそんな誤解をしたのでしょうか。
レースの経験者から聞いた話ということは、その経験者はプロダクションレース用のタイヤについて言っていたと考えられます。
メーカーによって違いはあるものの、プロダクションレース用のタイヤの場合、空気圧はフロント2.0kgf/cm2、リヤ1.8kgf/cm2が程度が多いです。
タイヤによってはもっと低い空気圧を推奨していることもあります。

なぜプロダクションレース用のタイヤはそんなに空気圧が低いのかというと、タイヤの使用目的が異なるのが理由です。
プロダクションレース用のタイヤとは、レースで勝つことを目的に設計されているため、OEタイヤとは内部構造も形状もコンパウンドも違います。
熱を発するほどグリップが強力になり、フルバンクのときには接地面積を増やし、かつ荷重がかかるほどグリップを強くするための設計なのです。

逆に、冷間時には本来の性能を発揮できません。
ですので、公道でプロダクションレース用のタイヤを履くのは危険な行為だということを覚えておきましょう。
一方OEタイヤの場合、公道での走行に最適化されています。
このようにタイヤの空気圧は目的に合わせて最適に設定されているので、メーカー推奨の空気圧に従ってください。